生活習慣病の中でも、特に「肥満」「高血圧」「高脂血」「糖尿病」は「死の四重奏」と呼ばれ、日本人の死因60%以上がこれらの病気によるものです。「がん」「脳卒中」「心筋梗塞」は、3大疾病と呼ばれているのはご存知の方も多い訳ですが、慢性疾患としての3大疾患が「糖尿病」「高脂血症」「高血圧」。
その高血圧の中で、最も危険であると注目されているのが「早朝高血圧」です。
早朝高血圧が脳卒中や心筋梗塞を引き起こすリスクがきわめて高いと言われています。
早朝高血圧とは?
血圧は、1日中一定しているわけではありません。体の動きや感情の影響を受けて変化します。
血圧は朝が高く夜寝ている間は低くなっています。特に早朝の上がり方がが著しく、朝と夜の上の血圧を足して割った平均値が135以上、その差が15から20以上あれば、早朝高血圧であると考えられます。早朝高血圧にはディッパー型とノンディッパー型の2種類があります。
ディッパー型は、朝起きると同時に血圧が急上昇するタイプです。
ノンディッパー型は、夜血圧が下がらないままなだらかに上昇するタイプです。
早朝高血圧は、加齢とともにノンディッパー型が増加し、脳血管疾患や虚血性心疾患がになる確率が増加する傾向があり、糖尿病、心不全、睡眠時無呼吸症候群の多くがこのタイプと言われています。
早朝に血圧が高くなるのは、ある意味、自然です
この早朝高血圧、ある意味自然なことでもあります。人体は交感神経と副交感神経とによってコントロールされています。そのため、この2つの自律神経のバランスがとれていることが重要です。
夜、眠っているときは体はリラックスしている状態なので、副交感神経に支配されています。朝、目覚めると、人体は活動的になるため、体は交感神経支配に切り替わります。すると、血圧は自然と上昇していきます。ところが、通常は夜と朝の血圧の差は10~15程度であるものと比較して、朝の方が夜よりも20以上も高い状態になると、「早朝上昇型」の早朝高血圧です。
早朝血圧を測定する必要性
脳卒中や急性心筋梗塞の発症時間として、午前6時から10時が最も多くなっています。
降圧薬を服用して昼間の血圧が正常な方で、早朝高血圧の方は2人に1人と言われています。
血圧が正常な方でも朝目覚める前から血圧は上がっていきます。早朝高血圧とは、早朝、起床前後に一時的に血圧が上昇した状態の高血圧のことを言います。高血圧は脳卒中や心筋梗塞の原因の1つです。脳卒中や心筋梗塞は午前6時から10時の午前中にかけて起こることが多く、この時間帯は早朝高血圧になっている時間帯と同じになります。このようなことから、早朝高血圧と脳卒中や心筋梗塞とは因果関係があると考えられ、早朝高血圧の危険性が指摘されています。
何故、早朝高血圧が脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高くなるのか?
早朝の血圧値と夜間の血圧値の差が大きい状態をモーニングサージと言います。
モーニングサージのある方は、脳卒中発症の危険性が約3倍高いと言われています。
夜間の睡眠から目覚めた直後は、血圧を上げるホルモンが増えるため血圧が高くなる傾向があります。血圧が急に高くなると、血管に強い圧力がかかり、脳の血管が破れたりつまったりして、脳卒中を引き起こすリスクが高くなります。また、睡眠中は水を飲まないため、朝の血液が固まりやすくなっています。これらのことが重なり、早朝高血圧が脳卒中や心筋梗塞の発症リスクを高めてしまいます。
早朝高血圧と診断された場合
早朝高血圧と診断された場合は、朝から時間に余裕をもった生活をし、心配事や、あわてたり、緊張したりすることを減らして、リラックスした生活をするように心がけましょう。
食生活でのポイント
(1)多少太り気味以上の人は、5%体重を減らしましょう。
(2)食塩は1日7グラム程度におさえましょう。
(3)カリウムの豊富な野菜をしっかり摂取しましょう。
(4)外食を減らしましょう。
(5)適度な運動を行いましょう。