中国では数千年前から不老長寿の生薬として珍重されてきました。
日本でもテレビ番組で、杜仲茶はメタボリックシンドローム改善に効く「黒いお茶」として紹介され、薬局や量販店でよく目にするようになりました。
杜仲が最も繁殖していたのは、恐竜時代末期の6千万年前頃から6百万年前頃の間と言われています。その当時の地球では、メタセコイアなどの裸子植物が全盛でしたが、杜仲はそれとは異なり、被子植物最初の頃の種類でした。様々な種類の杜仲が繁茂していたことが、地球上のいたる所で発見された化石によって確認されています。
全球凍結の時代があったという学説が話題になりましたが、氷河期の到来で杜仲は大きな打撃を受け、中国にわずか一種類しか残りませんでした。杜仲は大昔の繁栄と氷河期の絶滅の危機を経て、現在では健康に役立つ素材として栽培されるようになりました。
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杜仲という名前の由来
杜仲という木の名前については、いろいろな説がありますが、ある説によると、昔、ある人が木の皮を砕き煎じたものを毎日のように飲んでいました。すると活力がみなぎってきて、やがて仙道を悟るようになったそうです。仙人となってからは霞を食べ、その植物を口にしては美女をはべらせ、空を自由に飛んで、生き長らえたと言うことです。その仙人は名前を杜仲と言いました。その名をとって、毎日口にしていた植物はやがて杜仲といわれるようになったということです。
古くから認められてきた杜仲茶の効能
杜仲という植物は、中国から東南アジア方面に広く生息する巨木型の植物です。(杜仲科トチュウ属トチュウ)杜仲は、30年ほどで巨木に育ちますが、なかでも四川、陝西、湖北、河南、貴州、雲南などの各省で原産のものは、古くから漢方薬として珍重され、『神農本草経』にも登場しています。
『神農本草経』には、「腰や背の痛みを治し、内臓の諸機能を補い、元気を益し、背骨を強固にし、志を強くする。 久しく服すると身体の動きを軽やかにし、老いない」と記載され、不老長寿の強壮薬として珍重されていたと言われています。
古くから認められてきた杜仲茶の効能には、
○ 血圧下降、血行障害改善
○ 利尿作用、肝臓治癒
○ 関節痛改善
○ 鎮痛効果
などが掲げられています。日本では、奈良時代から平安時代の間に杜仲が栽培されるようになり
「強壮強精剤」として利用されていました。
奈良時代から平安時代の王朝貴族には杜仲は、頼もしい味方だったのでしょう。
杜仲は採取方法が難しく高価なものでした。手に入れられたのは貴人たちだけで、高価なものだったため、江戸時代になってもよほどの金持ちでないと買うことができず、一般の庶民にはなかなか手の届かないものだったとされています。