「あなた個人に興味がある」ことを示す。交渉での先手必勝の戦術

ビジネスにおいての交渉事で相手に対して、人間として興味を持っているという意思表示を示す上で、プライベートの質問以外にも、大事なコツがあります。

事前に名前や肩書きを調べ。しっかり覚えておくことです。そして、対面した時に、その名前や肩書きを間違わず口にする。

「〇〇部長さんですね。いつもお世話になっております。初めまして。私は〇〇社の〇〇と申します。今日はよろしくお願い致します。」

初めはこのように、肩書きを入れた方が無難ですが、その後は雰囲気次第で肩書きは省いても大丈夫なものです。「〇〇さんは立派な体格のようですけど、何かスポーツをされて入らっしゃいましたか?」

と、こんな具合です。

海外で支持された議論や交渉の指南書でも、「相手の名前を覚えておくことは大事」とあります。



交渉相手自身の話題にふれるのは悪いことではない。

利害関係が厳しいか否かなどに限らず、自分の名前を呼ばれるのは心地よいものです。

そして、性格や趣味の対象、家族のことなどを自然に聞かれれば、なおさら気分がよくなるものです。

「自分のことを知ろうとしているんだ。なかなかいい奴だな」と思われることは間違いありません。

厳しい交渉の前は誰でも、その所属組織の立場で相手に対面します。

部長なら部長。課長なら課長の権限内でしか発言できませんし、時には個人的な思いを殺しながら会社の立場だけで議論していることもあるでしょう。

そこに、会社の立場ではなく「いま会ったばかりのあなた個人に興味があると言動で示されれば、多少なりとも気持ちが和らぎ、相手は会社の立場を守る緊張感から、少し解放されるものです。

ビジネスにおいての交渉は、正面を切ったロジックのぶつかり合いばかりではありません。

相手の気持ちを和らげてこちらの側に近づいてもらったり、逆にこちら側に寄ってきた相手の気持ちを意図的に跳ねのけたり、時にはひと芝居打ったりといった心理戦も、プロセスの一部に含まれます。

議論や交渉の本題に入る前のこの段階では、あまり大袈裟なことは控え、相手も同様にこちらを値踏みしている段階ですから、ここではできるだけ率直な姿勢で、こちら側を気に入ってもらうことがよいでしょう。