部下を叱らない人

上司の仕事は、まず部下を叱ることかもしれません。

会社という組織は、トップの方針にしたがい、会社一丸となって働くことで利益を上げるシステムになっています。だから上司は会社の方針や経営理念に反した部下を叱りつけ、矯正する義務を負っている訳です。

だから、「私の考え方はこうなのに、何をしてるんだ」と怒鳴りつける上司がいる訳です。

部下を叱らない人? 上司の力量は叱るエネルギーでわかる

部下に落ち度があっても叱ることができない上司がいます。

自分に自信がないからです。

自分のスタンスを明確にし、それを部下に示す自信がないわけです。

「会社の価値観はこうだ。自分の価値観はこうだ。あなたはそれに反したから私は叱るんだ」と言い切る自信がないわけです。

自分のスタンスを持たない人間が、いい仕事ができるわけがありません。

上司になったこと自体、間違っていると言っていいでしょう。

ただ、部下を叱るときは「叱る基準」を明確にし、日頃の言動でそれを部下に示しておく必要があります。

「叱る基準」が曖昧で、同じ失敗でありながら、このあいだは不問で、今回は急に怒り出したというのでは困ります。

部下が叱られた理由を「上司の虫の居所」のせいにしてしまうからです。

これでは叱る意味がありません。

さらに大事なのは、叱り方です。これを間違えると、あとに恨みが残るだけです。

逆恨みであっても、人から恨みを買うのは、あまりいいことではありません。場合によっては、大きなマイナスです。

では、どう叱るか

王道を説くことです。

「なぜ叱られるのか」ということについて、きちんと説明することです。ほかに方法はありません。

失敗した部下にも「三分の理」はあるので、これを叩きつぶしておかなければ、逆恨みを残してしまいます。

それにしても、人を叱るということは、大変なエネルギーがいるものです。

「あなたを5分叱ることで、あなたは私を2時間も3時間も占有したわけです」「わかっていますか?」
「わたしが何も言わないようになったら終わりです」
「わたしが叱っているのは、あなたに期待しているからです」

叱るというのは、ことほどさように難しく、エネルギーを費やすものです。

しかも、気持ちのいいものではありません。

だから、上司としての力量が問われるわけです。

あなたは部下を叱れますか? 叱れない上司の悩み

部下を叱れない上司が増えています。あなたは、部下を叱ることができていますか?

ここで言う「叱る」とは、部下のよくない行動を指摘して改善を促す行為です。部下は未熟な面が多いものなので、叱らなくてはならない瞬間は必然的に訪れます。

そんなとき、上司が叱らずにその状態を放置していては、部下の成長が遅くなるばかりか、顧客からのクレームが出たり、会社にとって重大な損失を与えてしまったり、場合によっては部下に一生残る傷を負わせたりする可能性すらあります。

ですから、大事な場面で部下を叱れないのは、「部下の育成を放棄した怠慢だ」「部下への愛情不足だ」と指摘されてもおかしくありません。相手に課題を伝えるのは、上司にとって重要な役割なのです。

しかし、そんな状況でも「叱れない上司」が増えています。これは、上司自身が「叱る」という行為に心理的な抵抗を感じたり、叱ることで部下との関係性の悪化を恐れたりして、見て見ぬふりや、言えずにイライラして態度で伝えようとするなどしてしまうことが原因の一端といえます。そして、この「叱れないことのストレス」は、実は相当なものです。

https://toyokeizai.net/articles/-/325753

「ほめる・叱る」指導ではなく、「勇気づける」指導を

「ほめる・叱る」の指導法は、上の立場から部下の適切な行動を評価し、失敗や不適切行動には叱って自分がよいと信じる行動を強制する、アメとムチの「操作型リーダーシップ」です。一方、「勇気づける」指導法は、横の立場から部下の適切な行動・失敗・不適切な行動に対して、共感的な態度で「どうすればよくなるか」を一緒に考える「自発誘導型リーダーシップ」です。

とはいえ、「ほめる」と「勇気づける」はまったく別物というわけではありません。上の図のように重なる部分もあります。この重なっている部分が、「ヨイ出し」です。

https://hrd.php.co.jp/shainkyouiku/management/post-933.php

部下を成長させる「ヨイ出し」、部下を委縮させる「ダメ出し」

「ヨイ」とは、「適切な行動」のことです。「遅刻をしない」「あいさつをする」「お茶をいれる」「会議の準備をする」「電話をとる」「報告をする」など、「善行」を含む「当たり前の行動」です。「当たり前の行動」は、数え上げればきりがないでしょう。通常、職場における部下の行動全体を100%とすると、95%くらいは「適切な行動」をしていると考えられます。しかし、そうした適切な行動は「当たり前」であるため、多くの上司は気にかけません。身近な人の当たり前の行動に対しては、かなり意識していないと記憶に残らないのです。

「ヨイ出し」とは、この「適切な行動」に注目し、そのことに対して積極的に相手に伝えることです。「尊敬」「信頼」の気持ちをもって相手に接し、適切な行動に対して「ヨイ出し」をする。それによって、部下は「あの上司は自分ことをしっかりと見てくれている」と感じ、上司に対する「尊敬」「信頼」を育んでいきます。また、自分にできていることを人から認められることで自己肯定感も高まり、やる気も生まれてくるでしょう。その繰り返しによって、やがて自分で自分を勇気づけられるように育っていきます。

ところが、多くの上司は、たかだか5%くらいしかない「不適切な行動」に着目して声をかけがちです。これはいわゆる「ダメ出し」です。人は、ある行動に対して注目されるとその頻度が上がる傾向があります。つまり、「不適切な行動」に「ダメ出し」をすればするほど、その行動の頻度が増えてしまうのです。また、「ダメ出し」は否定的な言い方になったり、威圧的になりがちだったりします。それでは部下の心に緊張感が生まれてしまい、「相互尊敬」「相互信頼」の関係を育んでいくことはできません。さらには、失敗するのではないかと行動そのものが委縮したり、逆ギレにつながったりというおそれもあります。

部下の成長を願うのなら、「適切な行動」に着目し、積極的に「ヨイ出し」していくことが求められるのです。

叱り方を知れば、上手く叱ることができる

松下幸之助氏でさえ、「言葉が過ぎたかな、あの叱り方でよかったのかな」と思い悩んだという。読者の中にも、嫌われるのが怖くて、うまく部下を叱れないという人も多いだろう。しかし、ときにはリーダーとして部下を叱ることも求められる。

だが、自分がいかに期待や信頼を伝えていても、叱り方を間違えれば、部下にそっぽを向かれかねない。そこで、ぜひとも覚えておいて欲しい「叱り方の極意5カ条」を紹介したい。

すぐ叱る

「後で」とか「タイミングを選んで」と先延ばしにせず、直ちにしかる。パッと叱ってその後は蒸し返さない。これは感情的なしこりをつくらないコツだ。

1対1で叱れ

会議の最中など、人前でいきなり叱りはじめるのは最悪。「恥をかかされた」という感情につながり、後に尾を引きやすくなる。別室や廊下の隅、社外の喫茶店などに呼び出して、1対1で叱るべきだ 。

人格を否定しない

叱っているうちに興奮してしまい、相手の人格攻撃をはじめる人はリーダー失格だ。叱るときは、起きたことや結果、選んだものについてのみ批判し、その人自身をネガティブな言葉で傷つけてはならない。これがきちんとできれば、相手も叱っている意味を受け入れやすくなる。

褒める事も忘れない

人を成長させるには、褒めることと叱ることの両方が必要だ。2叱ったら8褒めるくらいの気持ちを忘れないようにしよう。叱りと褒めのバランスは、シーンに合わせて使い分けるとよい。組織に適度な緊張感を持たせたいのなら「3叱り7褒め」、後々引きずらないようにするなら「褒める」の間に「叱る」をはさむ「3褒め2叱り3褒め」など工夫してみよう。

常に公正さを意識せよ

「自分ばかり叱られている」と部下や後輩に思わせてはならない。部下に期待しているなら誰にでも同じ基準で接していることが明確に伝わるよう、「公正さ」を強く意識したい。

リーダーには、部下の行動に問題が見られた場合には、早急に修正する=叱ることで本来の目指すべき方向に導くことが求められる。

しかし忘れてはいけないのは、部下へ「期待や信頼を伝える」ことと「適切に叱る」ことの両立だ。これができれば、「あの人から叱られるとやる気がわいてくる」と言われるようなリーダーに近づくことができるだろう。

https://www.nomura.co.jp/el_borde/method/0002/