
「やるか、やらないか」
ビジネスにおける決断は、基本的にはこの二者択一です。
そして、どちらを選択するかが成功と失敗の分かれ目になります。
では、判断の基準はどこにあるのか・・・
目次
可能性が低いことに挑戦する人になれ! 常識で考えるべきとき、冒険すべきとき
ビジネスにおける決断として、常識的には「採算」であり「成功率」です。
経営者の場合、採算と成功率は第一に考えますが、可能性が低いことに挑戦する人の場合、それだけではありません。
成功率がわずか10%しかなくても決断し、その事業に投資し取り組むことがあります。
なぜなら、こうした決断こそ、会社の生命力と確信するからです。
つまり、目の前にニーズがあるから実行するというのではなく、実行自体が目的となっているのです。
その理由は、自分の会社がやらなかったらどこがやる、という自負と気概です。そして、この気概が本物でさえあれば、必ずどこかにニーズやマーケットがあるはずなのです。
さらに言えば、どのジャンルでも、どの業界でも、全体のなかでポッカリ「穴」の開いている部分があるものです。
ニーズがないから「穴」が開いているのか、その理由はいろいろありますが、そのような「穴」はできるだけ埋めておいたほうがいいのです。
可能性が低いことに挑戦する人の場合、決断して失敗することもあります。
しかし、ビジネスマンとして大志を抱くなら、リスクを避けて成功はあり得ないということを知っておくべきです。
やる価値があると決断したら、成功の可能性が低くても挑戦する。
こういう人が「仕事ができる人」になっていきます。
社会生活で大切な「常識」
人が子供から大人へ成長していくためには、身体的に成熟するだけではなく、社会的な常識を備えていく必要があることを私たちは知っています。入社試験で「一般常識問題」を出している会社が多い理由も、最低限の「常識」を持った人物を選考の条件にしているからです。
人はなぜ「常識」を身に付ける必要があるのでしょうか?
大きく分けて二つの理由が考えられます。一つ目は、常識で判断をした方が「効率」が良いからです。大人になって常識というパターンを持っていないと、行動をしようとする度に、一から何をどうすべきか決める必要があるため、考える時間が長くなり過ぎます。
「この場合は、こうすべきだ」というパターンを常識として持つことは、考える負荷を減らして、素早い行動を可能にするメリットがあります。服装のTPOという常識があるから、結婚式や仏事の際に、何を着ていくか一から考える必要がないのです。
二つ目は、人が集団を維持するためには、共有する「価値観」が必要だからです。人は社会的動物ですから、様々な共同体をつくり所属することで生きています。それぞれの共同体には、必ずメンバーが共有する「価値観」があり、求心力を生み出しています。共同体の価値観とは、言い替えると、その共同体における「常識」です。
例えば、最大級の共同体である「国」を考えてみましょう。日本では、「道路にゴミを捨てない」「公共の場所の美化に努める」ことは常識ですが、国によっては必ずしも常識ではありません。日本を訪れる外国人の多くが、街の美しさに驚くのは、常識の違いがあるからです。
https://www.fujitsu.com/jp/group/fjm/mikata/column/shimizu2/001.html
企業経営にもある「常識」
企業も共同体の一つの形ですから、それぞれの企業に「常識」が存在します。例えば、「朝仕事を始める前に全員で掃除をする会社」がありますが、この会社ならではの常識と言えます。
企業の場合、常識がつくり上げられていくプロセスは、共同体の構成員によって醸成されよりも、経営トップの考え方が組織内に伝播していく形をとることが多いという特徴があります。
では、経営者はどのように「常識」を身につけていくのでしょうか?
資格や試験が求められていないために、企業経営者には誰でもなることが可能です。そのため、多くの人は、経営者として初心者から一人前になるために、世間で知られている経営の常識をキャッチアップする努力をします。それは、自分の会社独自の常識の前に、経営の世界における常識を身につけことからスタートすることを意味します。経営書やビジネス書を読んだり、講演やセミナーを聴きに行ったりという行動を通じて、着々と経営の常識を蓄積していきます。例えば、経営者であれば、次のようなことを当然と考えている人が多いはずです。
● 業務効率を高めて利益が出やすい体質にすべきだ
● 業界や市場でシェアをとることが勝ち残るために必要だ
● 人を育てられる会社がいい会社だ
こうした経営の常識は、市場が成長を続けている環境のもとでは、大いに役立ちました。なぜなら、経営の常識とは、成功している会社をベンチマーキングした結果であり、追いつき追い越せという業界内の競争をしているときには、「何をすべきか」についての答を簡単に手に入れることができたからです。
そして、一般的な経営の常識の後に、各企業の中で、独自の常識がつくり出されます。その源は、自社内の成功体験にあります。安売りで業績を伸ばしてきた会社にとって、価格で負けないことは常識でしょうし、技術力で勝ってきたと自負する会社にとっては、自分たちが納得できる商品づくりは譲れない常識になります。あるいは、常に業界のナンバーワンであることが常識になっている会社もあります。
https://www.fujitsu.com/jp/group/fjm/mikata/column/shimizu2/001.html
リスクを避ける人、リスクを恐れる人
資産運用に限らず、仕事でもプライベートでも人は多くの選択を積み重ねて生きている訳ですが、その考え方は人それぞれです。
今回は資産運用や仕事で上手くいっている人となかなか結果が出ない人でどの様に思考の違いがあるのかについて自分なりに分析した結果を共有したいと思います。
上手くいかない人の思考を上げてみます。
●投資という言葉を聞いて情報を聞かない人
●資産運用などにおいて自分は騙されないと思っている人
●何かを始める際に100% の確信を持つまでスタート出来ない人
●全てを自分でコントロールしたい人
上手くいっている人でこの様な考え方や性質の人は殆どいません。
中にはいるかもしれませんが、私の経験の中ではほぼいません。
資産運用でも仕事でも上手くいっている人のリスクに対する考え方は明らかに違うと考えています。
人間は本能的に、リスクを避けたがるものです。
つまりリスクゼロを求めます。
しかしリスクを避けようとしてしまうと、殆どの人が行動自体できなくなってしまいます。
行動しなければリスクは避けられるからです。
むしろリスクを避けるには行動をしないという選択肢しか残らないです。
新しいことをはじめれば、多かれ少なかれ必ずリスクが存在します。
リスクだけを見て動けなくなってしまうパターンです。
https://www.partnerc.link/2019/01/15/post-9014/
プロジェクトの成功と失敗
プロジェクトにはリスクがつきものである。誰もがプロジェクトを成功に導こうとするが残念ながら成功する保証はどこにもない。プロジェクトの成功確率を話題にすると多くの人が興味を示すが、一概に成功確率を言うことはできない。なぜなら、プロジェクトの成功確率は扱うプロジェクトの特性のよって大きく異なるからである。
ハイリスクプロジェクトの典型は、と言われれば、真っ先に思いつくのが医薬品開発プロジェクトである。どこからプロジェクトを定義するかによって成功確率は異なるが、人への投与が開始される第一相臨床試験から数えて薬が承認されるまでを見てみると、その成功確率は約10%程度に満たない。さらに医薬品開発のプロジェクトは臨床試験から承認まで5~7年はかかるという長期のものであり、そのため製薬企業の研究者で一生のうち一度も自分の担当した医薬品が承認されなかった人もいるくらいである。一生は働いて、自分の手がけた薬が世に出ないなんて、想像し難い事実ではないだろうか。それほど、医薬品開発プロジェクトの成功確率は低いものなのである。私の知る限り、他の業界でこれほど低い成功確率を持つ業界は石油業界くらいしか思いつかない。石油の井戸を掘るにあたっては様々な地質データをもとに分析し、地質探査・解析の結果、油田の層があると判断して掘削を行うが、採算の取れる油田の層に上手く当たる確率が 10%程度でしかない。地質学や解析技術も発達し、衛星からの情報なども手に入るより、石油の存在しそうな場所を探索する技術は格段に進歩してきているが、最新のハイテク機器を用いても如何せん、本当の姿は地下を掘ってみるまではわからないというのが現状である。たとえ石油が出たとしても熟成が足らず、あと1000年くらい寝かせないと使えないというケースなどもざらなのである。
医薬品開発も石油掘削も成功の確率は低いが、その確率はプロジェクトそのものが持っているサイエンス的なリスクに依存している。医薬品では毒性や副作用が強かったり、薬の有効性が低かったりすると新薬としては承認されずプロジェクトは中止される。石油掘削では、掘っても石油ではなかったり、石油として熟成が不充分だったり、石油として使えても十分な埋蔵量がなかったりすると採算に合わないことで油田開発のステップには進まず中止される。どちらもマネジメント的な失敗という以上にプロジェクト自体が持つサイエンス的な失敗であり避けることは難しい。それが故に、この業界の一部には、サイエンス的なリスクが圧倒的に大きいため、プロジェクトマネジメントをやっても意味がないという意見を言う人がいることも事実であるが、逆に、だからこそプロジェクトマネジメントが重要なのだと主張する人もいる。
これについて、ある製薬企業の開発部長の言った言葉は今でも覚えているが、「芝尾さん、サイエンスリスクが高いからプロジェクトマネジメントをやっても意味がないなんてとんでもない。医薬品開発はサイエンスリスクが大きいプロジェクトだからこそ、プロジェクトマネジメントが重要なのです。数少ない成功のポテンシャルのあるプロジェクトをどのようにして事業として大きな成功に結びつけるのか、また失敗するとわかったプロジェクトをいかに早く断ち切るか、まさにマネジメントの問題でありプロジェクトマネジメントの良し悪しが事業に大きく影響を与えるのです」。私も同じ意見である。医薬品の場合、例え効果が認められてもその開発に時間がかかりすぎることで失敗することもある。同じ作用機序を持つ薬が他社に先を越され薬効が同等かそれ以下であると薬が承認される可能性が格段に下がり、下手をすると承認されずそれまでの開発投資はすべて無駄になることさえあるのである。ビジネスの世界は競争の世界でもあり、製薬業界といえどもその例外ではない。他社との競争の中でビジネスをやっている以上、プロジェクトマネジメントの優劣は製品開発の成果に大きな影響をあたえるのである。サイエンスの優劣も競争であるが、マネジメントの優劣も常に競争にさらされていることをマネジメントの方々は常に理解しておくことが大切である。
https://www.innovationmanagement.co.jp/column/no3/